2026/02/17 22:23

動画配信と風営法改正

― 2025年改正を踏まえて、オンライン事業者が考えるべきこと ―


2025年6月、
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(いわゆる風営法)の改正が施行されました。

今回の改正は、いわゆる「色恋営業」や高額請求トラブルへの対応を背景とし、夜の接待型飲食業における禁止行為の明確化と罰則の強化を行うものです。

一見すると、これはリアル店舗の問題であり、動画配信やオンラインサービスとは無関係のようにも見えます。
しかし私たちは、オンライン事業者であってもこの改正を無視すべきではないと考えています。

改正の本質は「営業の構造」にある


今回の改正で象徴的だったのは、「何をしてはいけないか」をより明確にした点です。

恋愛感情を過度に煽る営業、
不透明な価格表示、
実態と異なる営業構造。

これらは単なる接客技術の問題ではなく、「事業モデルの設計」に関わる問題として扱われました。

ここで重要なのは、
法律が接客の“雰囲気”ではなく、営業の構造そのものを見ているという点です。

オンラインは本当に無関係なのか


動画配信は物理的な営業所を持たないため、条文上は直ちに風営法の対象となるわけではありません。

しかし、オンライン配信が次のような構造を持つ場合はどうでしょうか。

  • 特定の視聴者に強く依存する売上構造

  • 感情的な親密性を中心に設計された双方向性

  • 消費を過度に煽るランキング・競争構造

  • 実店舗と密接に連動する営業モデル

法律は条文の形式よりも実態を見ます。
もしオンラインの仕組みが、実質的に接待営業と類似する構造を持てば、将来的な議論の対象にならないとは言い切れません。

今回の改正は、
「今すぐオンライン配信を規制する」というものではありません。

しかし同時に、

感情につけ込む営業や不透明な売上構造は、社会的に許容されにくくなっている

という明確なメッセージでもあります。

テクノロジー企業に求められる姿勢


テクノロジーは常に法律より先に進みます。
だからこそ企業には、「できること」ではなく「どう設計するか」という責任が生まれます。

私たちは、オンラインサービスを設計するにあたり、次のような視点を重視すべきだと考えています。

第一に、営業主体の明確性。
誰が責任を負うのかが曖昧な構造は、長期的に持続しません。

第二に、売上確定の透明性。
感情ではなく、仕組みによって収益が成立する設計が必要です。

第三に、過度な疑似恋愛や射幸性を煽らないこと。
短期的な売上よりも、健全な関係性を優先する設計思想が求められます。

改正は「規制強化」ではなく「社会的整理」


今回の風営法改正は、夜の業界を一律に締め付けるものではありません。
むしろ、曖昧だったグレーゾーンを明確化し、健全な事業者が安心して営業できる環境を整える方向性と見ることもできます。

オンライン配信も同様です。

今は条文の外にあるかもしれません。
しかし社会的評価や制度の議論は、常に変化します。

だからこそ、

法律の外側で最大限やる、のではなく
法律と整合する構造を最初から設計する

という姿勢が重要だと私たちは考えています。

おわりに


風営法改正は、夜の飲食業にとって大きな転換点となりました。
同時にそれは、オンライン事業者に対する問いかけでもあります。

テクノロジーが生み出す新しい体験は、
社会とどう共存するのか。

私たちは、
規制を回避する発想ではなく、
社会と整合する設計思想によって
持続可能なサービスをつくっていきたいと考えています。